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November 29, 2004

不定期連載JAZZ小説「KIND OF BLUE」その11

(前回より続く)
<コメントありがとうございます、張り合いが出てきます。今後とも応援宜しくお願いします。>
(前回のお詫び、MJQの来日とホレス・シルバーの来日順序が逆でした、お詫びいたします。)
ーーーゼンさんの高校生時代の回想録より続くーーー
やっとのことで立ち上げたジャズコンボ(アルトのワンホーン・カルテット)、さて、普段からジャズを聴きまくり、ジャズ漬け状態、授業中はもっぱらSJ誌を読み暗記する、休み時間は4人でジャズ談義、情報交換、ジャズLPの批評と見解の相違からののしりあい、こんな日々が続いた。
当時の話題のLPは因みに以下の様なもの。
「BAGS GROOVE」「サキソホン・コロッサス」「カインド オブ ブルー」「マイルストーン」「モーニン」「ゼムダディブルース」「ピラミッド」「ブローイング・ブルース・アウイ」「モダンアート」(アート・ファーマー)「JJ&GETS オペラハウス」「ウイントン・ケリー・トリオ」(ソフトリーアズインアモーニングサンライズ)「マイ・フェバッリト・シングス」「セロニアス・ヒムセルフ」「キャラバン/JM」「スリーブラインドマイス」「インクレディブル・ジャズギター」等など。
「おい、バッグスグルーブの録音の状況って知っているかよ?」と軒山が物知り顔でいいだした。
「マイルスが、始る前にモンクに、俺の後ろでは弾くなって、命令したんだ、だからマイルスが吹いている間はピアノの音ががしないの、でもマイルスのソロが終わるとモンクがにわかに怒り出した怒りのフレースを叩きつけるんだ。」
「1954年12月24日のクリスマスイブ録音って有名なんだ。」軒山がSJ誌の受け売りをしている。
「本当は別の録音があって、二人の喧嘩の状況までかなり録音されていて、この煽りでミルト・ジャクソンがイントロを間違えて弾いてしまい、やり直すところまでレコードに入っているんだ。」知識の受け売りは軒山の独壇場だ。
「あっ、俺そのレコード先週買ったよ、マイルス・デイビス・第二集っていうんだ。」俺が言うと、軒山と小林が、「早く言えよ、貸してよ、今度もって来いよ」と。
そして、小林が言った「アドリブどうするんだよ、俺は良いけどね、ドラムはバッチリだから」
「サキコロのブルーセブンのマックス・ローチのソロ完全コピーしちゃった」と自信たっぷりである。
何しろ、お箸でブリキの空き缶をたたきながら、レコードを聴いて真似して練習している。
「右手でシンバルレガートを維持しながら、左手でソロをする、右手は絶対に崩れないからね、俺、完璧」何でも一番の小林が言う。
ベースの安藤も言う「ベースって結構やれるぜ、家でレコードに合わせて、弾くけど、結構気分で合わせてゆけるよ、雰囲気だけは出るよ、コード進行って知らないけどさ」
困るのはピアノだ、当時モダンジャズの教則本なんて無い、身近に教えてくれる人も教室もない。
そんな時、土曜の午後、予備校のついで立ち寄る行き着けの喫茶店(立ち寄り禁止だったが)で軒山に貸すレコードをコーヒーを飲みながら見ていたら、その喫茶店の若い従業員が「君達ジャズやるの?」と聞く、「ええ、最近やり始めたけど、コードが解らなくて」と生意気顔して応えたら、「これあげるよ」。
それが、A6サイズの譜面帳方式のコードブック、と楽典だった。ギター用ではあったが、五線譜の上に構成音が表記されている、嬉しかった・・・・・が、これでコードの種類と転回形はわかる、・・・でも何処でどのコードになるのか・・・解らない。あとは勘を頼るしかなかった。
その従業員は1ヶ月後にはもう居なかった。
SJ誌の評論は多彩だった。野口久光先生、油井正一氏、相倉久人氏、植草じん一氏、大橋巨泉氏、本田俊之氏、
牧芳雄氏、瀬川昌久氏、岩浪洋三氏、藤井肇氏等等、キラ星の如くである。
レコード評は辛らつを極め、ノースター対ファイブスターという評価もあり、数ヶ月続けての誌上論争となったこともある。
そんな時、レコードのライナーノーツにやたらオタマジャクシを書く評論家がいる、藤井氏だ。
モーニンはメロディーに続き、B♭とFで応えると書いてあるではないか。
急いでピアノの所へ飛んでゆき、たどたどしく、B♭を押さえ、続いてFを押さえた。
出た、同じだ、ボビー・ティモンズと同じ音だ!!。ちゃんと三和音で同じ音だ。普段から聴力の鈍い耳なのでこれが出来たときの感激はいまだに忘れられない。爾来、私はブルースを何気なく弾くとき、Fのキーを選んでしまう。
翌日、学校へゆくなり、軒山に言った「おれモーニンのコード見つけたぜ」
「本当かよ、じゃあ昼休みにやってみよう」
40分の休み時間中、音楽室に潜り込んで試した、軒山はアルトを携えて来た、軒山がテーマを吹く、ピアノがB♭とFを弾く・・・でも合わない。音程が違う。一体どうしたんだろう、二人は考え込んでしまった。
「でもライナーノーツに書いてあったぜ、だから間違い無いよ」
軒山はしばらく考えて、「そうか、俺が違うキーで始めればいいんだ」
「この辺のキーだろう」 「あっ、合ったよ」
「そういえばアルトってE♭の楽器だって書いてあった、アルトの指使いの教則本買ったんだ」
「そうか、アルトのドがピアノのE♭ということか、三度半違うということだ」
まるで新発見をしたような騒ぎで、その日の放課後の練習は音の食い違いだけは免れた。
ブルーノートとは、セブンスコードとは、1ヶ月毎に進歩?していった。
でもコードチェンジとアドリブは未だ結びつかない。
Fでブルースを始めると、テーマはコード進行するけど、アドリブに入ると進行せず、そのまま、何時までもFのスケールでアドリブを続行してしまう。
早いパッセージを弾きたい、でも上手く指が動かない、4小節くらいのフレーズを覚えてこれをミソにしてそれらしく雰囲気をつくる。「少しはそれっぽくなったね」軒山がいった。
ドラムの小林がいった、「俺にもソロをくれよ」。何時も小節を数えている訳ではない、お互いにこのフレーズをやったら次の人へと決めを作ってソロを渡した。
ドラムソロの受け渡し方を決めたが、また難しいことを言い出した「4バースチェンジって知っているかよ」
「解るけど、4小節数えなくちゃ」と安藤が言う。
軒山が「そう4バースってカッコいいよな、決まるとな」
「でも4バースって何回やるの」俺は聞いた。
軒山がまたいいかげんなことを言う「俺がこれを吹いたら、テーマに戻るの、それでいいよね」
みんなOKであるが、4人が4人ともここが4小節の切れ目と一致するまで、喧嘩の連続。
「ここで4小節だろ」小林がいう、「違うよあと4拍あるよ」と安藤が言う。
「俺は数えているのだから正しい」と小林が譲らない。
駅までの帰り道、どっちの4小節が正しいかで、もめ続ける。
軒山が言った「俺が決めのフレーズを吹いて、最後の一音で足をダーンと床を踏み鳴らすから、そこが切れ目だ!」

凄い4バースチェンジとなったところで、ゼンさんは目が覚めた。
ソファーでうたた寝をしていた。「夢か・・・」
ゼンさんは冷蔵庫から冷えたペリエを出した。
ボヤーとした頭で考えていた、「・・・今日は日曜日か・・大野が若いピアノを連れてくるとか言っていたな・・・」
眠気覚ましに何をかけようか、これから店を開けなければ、もうスタッフは来ているかも知れない。
時計は5時を指していた、秋の夕はつるべ落としか、既に暗くなりかけている。
気合の音は何がいいか・・・・「ブハイナズ・ディライト」(JM/BN)この「ムーンリバー」がいい。
「ムーンリバー」らしくない、凄い勢いで出だすテーマ、次いで出てくる3管編成、ショーター、ハーバート、フラー、煽るブレイキー。
ゼンさんは音を聴いて元気を回復した。

(次回に続く、昨日28日日曜に「SWING GIRLS」のメーキング番組をフジテレでやっていました。つい見てしましましたが、やはりビッグバンドを体育会系と理解していたようです。それならそれで良いです。
でも彼女達がハリウッドで演奏した時、聴衆の中で踊っていた人がいましたね、あれがスイングです、踊りにくそうでした、自然に踊りだす、これがスウイングですよね。
でもサンタモニカの海岸で路上ライブっていうじゃない~。サンタモニカの人達はJAZZの音を聞き分ける良い耳を持っていますから・・・ギター侍風・・・マイルスの別荘だってあったところ・・・残念!!!)

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Comments

おはようございます。もう11回目ですね。程よい長さで
読みやすいです。
SWINGGIRLSのこと、今回もかいてましたがそれとは別に「所ジョージ」さんの番組でやっていた高校の吹奏楽コンテストのドキュメントが秀逸でした。

Posted by: H_imagine59 | December 02, 2004 at 07:15

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