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March 08, 2007

団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その114回「アイリーンの巻」ー

<前回より続く>

<「KIND OF BLUE」のご常連、DUKEさんは罪な人である。前回ご自分のサイトで
「ジャッキー&ロイ」を取り上げられている。ロイのフルネームはロイ・クラールであることはご存知の通り、ジャズ通の皆さんなら知っておられると思うが妹がアイリーン・クラールである。
私はこのアイリーン・クラールとは正に一期一会の辛い思い出がある・・。それを知ってDUKEさんは前回取り上げられたのだろうか・・・?>

1977年某月某日・・・私は六本木のジャズクラブ「バランタイン」のピアノサイドの席にいた。
隣の常連の男性と話をしていた。その日の出演は、峰純子さんで、有馬すすむハウストリオであった。
私も、隣の男性も峰さんのファンでよく峰さんを聴きにきていた。
休憩時間に峰さんを加えて話をしていた。
峰さんが「今度アイリーン・クラールが来日するの」と言い出した。
その月にはアイリーン・クラールの1974年末録音の新譜「恋の行方」がトリオレコードから1976年に出され1977年初めに「第10回ジャズディスク大賞ボーカル賞」を取ったばかりだった。
クラール来日の招聘は勿論峰さんのご主人の会社だ。カーメン・マックレイも絶賛のヴォーカリストだ。
「是非、聴きに来てね」と。

私は既にそのLPを入手し、まだ名前が知られてないその白人ボーカリストをいたく気に入っていた。
「来日したら当然聴きに行きますよ」と答えた。
峰さんは付け加えた「実はこれが初で最後の来日になるのよ・・・」と。
怪訝な顔の二人にそっと「実は彼女はガンに侵されていてもうそんなに長くはないの、自分で知っているのよ」と言う。
絶句してしまった。
暫くしてアイリーンが、ピアノのアラン・ブロードベントを伴って来日した、そして「バランタイン」でも歌った、当然聞き逃すまいと聴きにいった。
ピアノとのデュオでこのアルバムと同様、説得力のある渋い美しい陰翳のある表現で心に染み入った。

彼女のコンサートをABCホールで開催することになった。これが日本で生で聴ける最期の機会である事を皆知っていた・・・本人も・・でも誰もそれを口にする人はいなかった。

峰さんが手伝って欲しいと、そこで常連のその男性と手伝うことにした。
当日はプログラムやLPをロビーで売るのを手伝った、峰さんのお弟子さん達も一緒だった。
開幕のベルが鳴った、お客さんがみな会場に入ったのを見極めて、会場に入いり、会場の一番後ろの隅からステージを観ていた。
アイリーンが自分で余命を知って歌っている・・・その姿を観て聴いている。
これが最後の見納めかと思うととても感傷的になっていて、彼女の一挙手一投足を目に焼き付けていた。アランのピアノもいつになく静謐で甘さを抑えて素晴らしかった。
最後の曲はアルバムと同じく「DON‘T LOOK BACK」であった。

公演終了後、楽屋でアルバムにサインを貰った。
その日の公演を手伝ったことをどこかで聞いたのだろう、先ずお礼を言われた、そして、アイリーンとアランが私の名前を入れて書いてくれた。

そして、約1年後の1978年8月15日、彼女は他界した。
今になってみると峰純子さんもあの世へ・・・。
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私の大好きなピアニスト、ローランド・ハナと峰さんのアルバム「プリモーニング」に峰さんはサインをいれてくれた。
いま、私のLP棚にはこの二人のLPがサイン入りで並んでいる。

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Jazz4_043_1


<アイリーン・クラールのアルバム紹介。
「“恋の行方”WHERE IS LOVE」
VO:IRENE KRAL
P :ALAN BROADBENT
(A面)
1、 I LIKE YOU、YOU‘RE NICE
2、 WHEN I LOOK IN YOUR EYES
3、 A TIME FOR LOVE/SMALL WORLD
4、 LOVE CAME ON STEALTHY FINGERS
5、 NEVER LET ME GO
(B面)
1、 SPRING CAN REALLY HANG YOU UP THE MOST
2、 LUCKY TO BE ME/SOME OTHER TIME
3、 WHERE IS LOVE
4、 DON‘T LOOK BACK

最後の「DON‘T LOOK BACK」を静かに語りかけるように歌っている。
この余韻はなんなのだろうか・・・自分がガンであることを知り、余命を知ってこの歌を歌う・・。
DON‘T LOOK BACK,THE PAST DOESN’T MATTER NOW
YOU KNOW THAT LOVE CAN TURN INTO TEAR
DON‘T LOOK BACK、IF YOU WANT YOUR HEART HAS Sung
GO YOUR WAY AND DON’T LOOK BACK・・・・・・・・・

<場外情報>
1977年に、このアルバムの次にもう一枚スタジオ録音をしている、アランとのデュオで、ジョビンの曲などを録音している。正に絶唱と言ってもよい、最後の録音である。私はこのLPを聴き、テープにダビングしたものしかない、LPは持っていない。
機会と縁があれば欲しいと思う。

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Comments

4438miles、こん○○わ。
いつも、拙ブログにもコメント頂きありがとうございます。
アイリーンのボーカル,自分もとっても好きです。
地方在住なもので、全く聴くチャンスもなかったのですが彼女のアルバムすべていいですね。
bassclefさんが挙げていた"The BAnd And I"はボーカルアルバムの中でもとりわけ好きな一枚です。カバーの美しさ,UAってのもいいですね。Detour Aheadが最高です。

Posted by: 67camper | March 16, 2007 at 04:39

急告
本日、このBLOGの高校時代のバンド思い出話にも登場する親友のタレント、鈴木ヒロミツ君が亡くなりました。
享年60歳
今週の土曜17日には高校同期の還暦の会があり彼も来る予定でした。
僕たち同期のシンボル的存在でした、一級下のシンボルが作家、北方謙三君です。
彼が登場する話は再度書きたいと思いますが・・・悲しい出来事です。

Posted by: 4438miles | March 14, 2007 at 15:40

DUKEさん、25-25さん

ロイとアイリーンが何故兄妹で歌わなかったか・・・って、私も妹と二人兄妹ですが、心情的にはあまりやりたくないですね。
フォークソングくらいならいいですが・・。
他に、兄妹で歌手って誰かいましたっけ?
名前はブラザーズやシスターズでも、実際は血縁でなかったりして・・。

Posted by: 4438miles | March 14, 2007 at 15:01

こんばんは。

4438miles さん、bassclef さん、マイ・フェアレディ、シェリーマン盤を愛聴しているとは嬉しいですね。私は1年ぶりに聴きました。(笑)

25-25 さん、お久しぶりです、こちらでは。(笑)

I 「お兄ちゃん、一緒に歌おうよ」
R 「やだよ、オレ、ジャッキーと歌うよ」
I 「ジャッキーのことが好きなのね?」
R 「まぁね、美男美女のカップルはそういないぜ」
I 「鏡見たことあるの?美女と野獣じゃないの」
R 「・・・野獣の妹は何だ?」
I 「似ていない兄妹もいるのよ」

まぁ、そんなわけです。(笑)

Posted by: duke | March 13, 2007 at 23:36

あのー、久しぶりに来て下世話の質問で
恐縮なんですが~・・・

ロイは何故妹のアイリーンとヴォーカル・デュオを
組もうとしなかったんでしょうね?

また、ロイとアイリーンの共演音源は、ないのでしょうか?


Posted by: 25-25 | March 13, 2007 at 18:36

bassclefさん
写真、ありがとうございます、お陰で縮小ができました、やってみると簡単なのですが、知らないと言うことは困ったもんです。

DUKEさん
マイ・フェアレディ、シェリーマン盤も良いですね。
時々引っ張りだします。
ただアイリーンを聴くときは心して聴いております。

蓮如上人まで登場して頂き、光栄です、合掌。

KAMIさん
余命しって歌を歌う・・・なんとも言えませんね。

ところで、DUKEさんのクイズ、回答が出ました。
>還暦祝いにブルースの花束を贈った人は?

ダイナ・ショア Bouquet of Blues

>>>だそうです。ダイナ・ショア、急に聴きたくなりました。単純ですね。(笑)
今夜の相手はダイナだな・・・。

Posted by: 4438miles | March 12, 2007 at 13:56

milesさん、「写真」よかったですね。写真の縮小、けっこうメンドくさいですので、僕の場合は、いろいろ撮っておいて、記事に載せるものだけ、そのアップ時に縮小してます。
dukeさん、クラールの参加盤~シェリーマンのMy Fair Lady(capitol) なにかイラストジャケットのやつでしたね。 3~4曲ほど唄ってましたか。僕も愛聴しております。

Posted by: bassclef | March 11, 2007 at 09:14

4438miles さん、私の「ジャッキー&ロイ」から連想していただきありがとうございます。これぞリンクブログの妙、嬉しい限りです。

アイリーン・クラールを最初に聴いたのはシェリー・マンのキャピトル盤「マイ・フェア・レディ」でした。雄弁ではありませんが、物静かな優しさがありました。活動期間に比してアルバムが少ないだけに、晩年に録音された数枚のアルバムは貴重ですね。

アイリーンといい、峰純子さんといい、辛くても素敵な一期一会ですね。

蓮如上人 御文 白骨の章より

「夫、人間の浮生なる相をつらつら観ずるに、おおよそはかなきものは、この世の始中終まぼろしのごとく一期なり。」

染み入ります。

前回の問題は答えが出ないままでしたね。

>還暦祝いにブルースの花束を贈った人は?

ダイナ・ショア Bouquet of Blues

Posted by: duke | March 10, 2007 at 13:22

皆さん、写真が縮小でしました。
BASSCLEFさんのおかげです。
拡大してご覧になれますよ!
サインも見ることができます。
でも大変、これからアルバムの写真を全部縮小作業しなくては!!!(汗)

Posted by: 4438miles | March 09, 2007 at 10:38

BASSCLEFさん
写真の縮小の仕方、ありがとうございます。
早速、試します!

Posted by: 4438miles | March 09, 2007 at 09:20

4438milesさん、こんにちわ。先日は拙ブログ<夢レコ>の方へも「モンク~ラウズ」の考察コメントをいただき、ありがとうございました。
アイリーン・クラール・・・好きな歌い手です。初期のUnited ArtistsのThe Band & I から最後期のmilesさんの挙げられたWhere Is Love? まで、どのレコードでも、誠実でintimateな感じのアイリーンの声が、しみじみと心に染み込んできます。
77年にもう1枚のピアノとのデュオ~というのはGentle Rain ですかね。あれも・・・いいんですよ。彼女の唄というのは・・・なんというか「唄・語り」という感じで、ダイレクトに「何か」が伝わってくるようです。
それと、余談ですが、「写真が大きすぎ」の件~
僕も詳しい方ではないのですが、milesさんの方、たぶん、デジカメ自体の「サイズ設定」(データ量設定)が、大きい方になっているかと思います。そのデジカメでの「サイズ」を一番小さい(つまり画像的には粗くて小さい?)設定にすれば、たぶんそのまま、添付しても適当な大きさになる思います。
もうひとつのやり方(デジカメ段階はそのままで)記事書いて、写真を(僕も同じココログなので、IMGというところをクリックして付けると思いますが)貼り付ける前に、その写真自体を「縮小」できます。たぶんデジカメから一度、パソコンに落とすはずですから、その時、写真のファイルは「JPEG」だと思います。そのファイルを右クリックして「編集」をクリック。それから「変形」そのあと「伸縮と傾き」を選び、ようやく「水平」「垂直」の100%を、それぞれ30%とか40%に変えてやれば、写真サイズが小さくなります。
すみません、長々と(笑)
今回のアイリーン・クラールの「サイン」をどうしても見たくて・・・(笑)この記事の写真を一度「保存」して、上記の方法で、そのファイルを30%に縮小したのですよ。ちゃんと見られましたよ!(笑)
アイリーンさん、チャーミングな字体ですね。
「サイズ縮小」ぜひ一度トライしてみてください。
なおその画像処理は、僕のパソコンでは「ペイント」というソフトが(自動的に)機能します。

Posted by: bassclef | March 08, 2007 at 23:49

4438miles様、こんばんは。
死という事を意識しないで生きている私ですが、もし自分の余命を知らされたらどうなるのかと考えさせられました。
自分だったら残りの人生をどう生きるのか・・・。
半狂乱になるのか。それともうつ状態になってしまうのか・・・。
能天気に人生をだらだらと生きている自分。
それに対し余命を知った上で最後まで歌い続けた、アイリーン。

考えさせられます。

Posted by: KAMI | March 08, 2007 at 19:34

DUKEさんの「ジャッキー&ロイ」から連想してしましいました。
アイリーン・クラールに関しては、ジャズのBLOG仲間、「ねひつじ」さんのサイトでも、ジーンとくるコメントがあります。
ご了解を得られれば、複写転載をさせて頂こうかと思っています。

カーメン・マックレイも絶賛した歌手、アイリーン・クラールです。

Posted by: 4438miles | March 08, 2007 at 14:41

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