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April 05, 2007

団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その119ーー「スペシャルゲスト登場」の巻ー

ジャズ・クラブ「KIND OF BLUE」のドアーにゼンさんが、何やら張り紙を貼っている。
「ONE NIGHT STAND SPECIAL GUESTS  
THE PETE JOLLY TRIO」

このイヴェントはお店のスタッフしか知らない。これはゼンさんの主義、前から宣伝をすれば、始まる前からお店は満員になる、でも飛びっきりのゲストが出る日も普通の自然体でお店を開けたいのだ。
7時に音出し、でも最初のステージはいつものハウストリオ、河田、山田、大野のメンバーで始った。
そして、8時からは、今日の特別ゲストだ。8分の入りのお店のお客がざわついている。
「エッ、今日は特別ゲストにピート・ジョリー・トリオだって、凄いのが出るんだ」
「でもピート・ジョリーってウエストコーストのピアノで「リトル・バード」なんてヒットしたよね」とか・・・テーブルではこの名前は知っている、少しはレコードで聴いたことがある・・そんな話が交わされていた。
「でも、聴いたところでは、ちょっと軽いタッチだよね」などと言う。
ゼンさんがメンバーを紹介した、
Ladies & gentlemen, tonight we have a one night stand special guests! one and only!,
Pete Jolly Trio! Chuck Berghofer on bass, Nick Ceroli on drums, and great  Pete Jolly!
一斉に大きな拍手がおきた、そして第一音がでた。
070403_005

「MILESTONE」だ・・軽快にテーマが始ったが・・・テーマの解釈が面白い、サビ部分は無い、モードの曲でありながら、モードを感じさせない、むしろバップフレーズが満載でスイングする。
お客の反応が面白い、もっと軽い感じでくると思っていたのだろう。
ピートのアドリブがアグレッシブだ、レコードで聴くテーマのフェイクで終わらせるようなソロではない、べースがまた強い音で4ビートで引っ張る、強烈なランニングベースだ。
もう一曲目で皆の身体が自然に動き出している、切れないフレースで何時までもスイングする。
・ ・・と思いきや、アッと言わせる音の空白、見事だ。
華麗なるバッパーという感じだ。
最初の「MILESTONE」が終わった時、お客さんから思わず感嘆の声がもれた。
お客の会話でざわつく店内、ピートはかまわず次のイントロを弾き始めた。
「TEA FOR TWO」だ、アップテンポでテーマの解釈とフェイクがピート独特のもので洒落ているし、思わずニヤッとさせるメロディーを挟む。
今度はベースをフィーチュアしている、このベースはゼンさんも聴いたことが無かったが、ランニングベースだけで聴かせてしまう、図太いベースだ。
ピートがグングンと盛り上げる、これでもかと盛り上げる、そこでピッタとピアノが抜ける、ベースの音が残る、この間がなんともいえない。
お店中の人がもう完全に虜となって音に引き込まれている。
三曲目の「THAT OLD DEVIL MOON」も聴く者の琴線を響かすテーマを弾く。
四曲目は「DONT‘T WORRY ABOUT ME」ここまではもう皆がピートの既成概念は吹っ飛んでいた。
ついに、五曲目でもうスイング感が極致になった、これを聴いて思わず踊り出してもおかしくない、いや、むしろそれが自然だ。
「STARS AND STRIPES FOREVER」つまり「星条旗よ永遠なれ」だ、そう良く聴く有名なマーチだ。
最初は何が始ったか・・・ブルースマーチでもと思ったら、4ビートでスイングする「星条旗よ永遠なれ」だ。
音の強弱もスイング感には肝要だがこれがまた絶妙な切り替えで、聴く者を吸い込んでゆく。
ゼンさんはカウンターの横で立って聴いていたが思わず指を鳴らし、イエッの連続である。
ユーモア、意外性、粒の揃った音、粋なフレーズの連続、大きなスイング感、
そして、思わず笑えるエンディング、なんと楽しい演奏だろうか。
ジャズは楽しいでも美しいは次の曲で証明された。
「I SHOULD CARE」この美しい原曲をより一層磨きを掛けてテーマを弾いた。
ただ、楽しく、大きく、スイングさせるだけではない、このようなバラードを弾かせても、その強弱、陰陽、そして間の取り方・・技巧派であるテクニシャンであるがそれをひけらかせない。
またまたエンディングまでお見事!と言う演奏であった。
お客が納得しない、大きな拍手が鳴り止まない。
やおらアンコールが始った。
それはブギウギ調の左手で始った・・・何が出てくるかもう魔法の玉手箱みたである・・おお、
「HEY JUDE」がブギウギで4ビートに乗って展開される、このノリでの「HEY JUDE」は聴いたことが無い・・が左手がコードで4つを刻み、右手がビハインドでアドリブを展開する。
何か、ジャマールとガーナーの特長も併せ持ったような感じだ、それに三連符が気持ちよく絡む、ケリーの三連符とはまた違う白人のもつサラッとしているが微妙な後ノリのリズムがクセになりそうである。
お客が皆身体が動き出し、店中が踊っているようだ。
だれがピート・ジョリーは軽いし、ハードなアドリブはやらないと言ったのだろうか、とんでもない誤解である。
こんなに見事に、ハードにスイングし、また美しい音と綺麗なフレーズの連続、ライブなのにミスタッチは一音もない完璧さ・・・何度でも聴きたくなる演奏、それがピート・ジョリーだった。
今夜の「KIND OF BLUE」はきっと止まらないだろう、きっと疲れ果てるまで・・。

<この話は1969年7月にLAの郊外のジャズクラブ、Donte‘sでライブ録音された、
PETE JOLLY TRIOの「TIMELESS」というCDにインスパイアーされて書いたものです。>

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Comments

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Posted by: bamwargr | September 27, 2017 at 04:01

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Posted by: bamwargr | September 27, 2017 at 04:01

Posted by: yahappnq | September 26, 2017 at 17:26

ご愛読の皆様、冷やかしの皆様、間違ってご入店の方々、MIXIからなだれ込みの皆様。

今週は少々疲れ気味です。
45歳になるイトコが急逝しまして・・・大動脈破裂。
栃木県まで行ったり来たりでバテました。

今週末にはまた新たなネタで登場する予定です。
次は誰が出るか・・・・?
ご期待のほど!

Posted by: 4438miles | April 13, 2007 at 15:53

DUKEさん
・・・・私の一推しは「リトル・バード」を出している ava レーベルの「Sweet September」です。ベースはいつもの Chuck Berghofer ですが、ドラムはなんと Larry Bunker です。「Oleo」や「I'm Beginning To See the Light」得意の三連符が小気味良く決まります。CDの発売状況は分かりませんが、見付けたらカイです。・・・・

>>またまた買い物リストが増えました。
ラリー・バンカーと聞いて・・ヨダレが・・・。

ピートは大会社レーベルも多かったので、多少シャリコマ的に流れたのではとも思います。
でも、素晴らしい才能です。

そして、ジーン・ハリス+1(コンコード)は勿論白熱盤です。ジーン・ハリスの乗ったら止まらないというスイング感、グルーブ感も常習癖になりますね。

>>しんじさん
このライブ盤で見てきたようなウソを言う、講釈師的実況は、実はネタ切れの苦闘の産物です。
でも、仮想と幻想のジャズクラブゆえ、何でもありでご勘弁を!
もうあの世に逝ったアーティストを皆、出演させちゃいましょう。(笑)
ギャラ無しで(笑)

Posted by: 4438miles | April 09, 2007 at 10:52

4438miles さん、ピート・ジョリーが登場しましたか。

「TIMELESS」は未聴ですが、エキサイトするライブ盤のようですね。軽いといわれるジョリーですが、なかなかどうしてセンスが良くソフィスケイトしております。軽いと言われた一因はアート・ペッパー「Smack Up」のソロによるものでしょう。確かにペッパー、ジャック・シェルドンに比べるとアイデア不足は否定できませんが、「A Bit of Basie」でのソロはフロントに負けず劣らず強力なものです。60年代後半のA&Mはプロデューサーのせいもありコマーシャルな印象がありましたが、60年代前半はいい演奏を残しております。私の一推しは「リトル・バード」を出している ava レーベルの「Sweet September」です。ベースはいつもの Chuck Berghofer ですが、ドラムはなんと Larry Bunker です。「Oleo」や「I'm Beginning To See the Light」得意の三連符が小気味良く決まります。CDの発売状況は分かりませんが、見付けたらカイです。

>ライブ盤でエキサイトする有名盤は・・・?

The Gene Harris Trio Plus One (Concord Jazz)

ステージも客席もお祭り騒ぎ、盆と正月とクリスマスと誕生日と還暦祝い(笑)が一緒にきた賑やかさです。

Posted by: duke | April 07, 2007 at 18:55

こんばんは>4438milesさん。
これはまた、一枚のcdで「見てきたような中継」で驚きました。モダンジャズ・レビューの新境地とも受け取れましたよ、いやホント。演奏が聴こえるようです。

Posted by: 管理人@しんじワールド | April 06, 2007 at 21:52

ライブ盤でエキサイトする有名盤は・・・?

・スリーサウンズ(ジーン・ハリス)

・モンティ・アレキサンダー

そしてこのピート・ジョリーも入るのではと思うくらいのエキサイティング盤です。
演奏は荒いかも、でもスイング力がいい、元気の無いときのビタミン剤になるとおもうのだが・・。

Posted by: 4438miles | April 06, 2007 at 17:43

KAMIさん

先日アマゾンでみたらこの「TIMELESS」というCDが出てこなかったのです。
しかし、銀座山野の店頭には置いてありました。
まだ数週間前のことです。
無い場合は山野に電話してみたら良いと思います。

Posted by: 4438miles | April 06, 2007 at 12:05

4438miles様、こんばんは。
ピート・ジョリーですか。
実は、聴いたことがないのです。
今回の話を読み興味がわきました。
>ジャマールとガーナーの特長も併せ持ったような感じだ
うーん、これは聴かないといけませんね。
これから、アマゾンへ探検いや探しに行ってきます。


Posted by: KAMI | April 05, 2007 at 20:04

ピート・ジョリーなんてと・・・でも偶然出会って買ってしまったが、なんで買った分からない。
そして、とりあえず音を出してみて、ビックリ!
唸りぱなっし。
ピートのライブ盤は不明にして知らず、ライブの場では凄いの一言です。

Posted by: 4438miles | April 05, 2007 at 16:51

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