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August 10, 2007

団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その134回ーー「馬さんが・・・フト立ち寄って」の巻ー

<前回より続く>

幻想と空想のジャズクラブ「KIND OF BLUE」は今夜も満員だ。カウンターにはいつものご常連が陣取って屁理屈をこねている。テーブル席も満員だ。お盆休みの直前とあって、仕事なんてやってられるか・・という御仁が開放感をジャズに求めてやってきている。
この暑い日になんで此処に来るのだろうか・・・涼しい所へ行っても良いようなものを・・とゼンさんは内心思っていた。

ゼンさんは気がつかなかったが、一人の外人客がカウンターで常連に挟まれて一人飲んでいる。
ハウストリオの河田吾郎トリオは今最後の曲をやっている。
暑い日に洒落た訳ではないが「SUMMERTIME」である。最初はスローで始まったが途中からバイテン(テンポを倍にすること)にして、ミディアムアップのテンポになっている。
河田のピアのがネバリに粘って、ゴスペル調の「SUMMERTIME」になっている。
フレーズがコール・アンド・レスポンスのになってくると、会場から「イャー」とか「イェー」とレスポンスが返る。
ドラムの大野は三連にして益々粘る、店全体がネバリスイングになる瞬間だ。
「ジャズはこうじゃなきゃ」・・DUKEさんがつぶやいた。KAMIさんが「いいねえ、このネバリ!」という。
やがて、三連がルバートして、テンポがオフになり、エンディングに入って、最終音でダダダダダーンと終わった。
拍手が高まって、そして休憩に入った・・・・・・その時、静かに聴いていた、一人の外人がカウンター席から立ち上がり、ピアノに近づいて行った。
普通なら、「お客さん、ダメです」と酔ってピアノに近づく人を制するのだが、誰も止めようと言う空気がなかった。
ピアノの河田や大野も何が起きるのか、見つめてしまった。

彼はピアノに座ると、やおら大野と山田を見た、彼らは何かに取り憑かれたように楽器についた。
踵でテンポを出した、かなりのアップテンポだ。
頭からテーマに入った、「I GAT RITHUM」だ。
軽快なノリで進んでゆく、音の構成が厚く、コードワークが巧みだし、ソロのフレーズが途切れない、加えてありきたりの展開をしない。
「いったい誰なのだ・・・そういえば・・・どこかで見たことがある顔だ・・・」ゼンさんは自分の頭の中で一生懸命確認をした。
「本当だろうか・・・そんな事があるのだろうか・・」、ゼンさんは目と耳を疑った。
ソロは一層軽快に快適にスイングし、止まるところを知らない、お客は皆、ピーターソンを意識したのではないだろうか。
ソロのアイデイアがたまらない、面白いし、スイングの弧が大きいし・・・。
そして、最後のテーマに入った、最終小節で繰り返し、盛り上げて終わった。
一斉にお客から歓声が上がった。でもお客は彼が誰だか知らない・・・。
ゼンさんがマイクを取って・・・「みなさん、今日の飛び入りゲスト! ハンプトン・ホーズ!」
「アンコール!」場内から一層の歓声が・・ベースの山田君はホーズと知って、目を白黒させている。

「馬さん」こと、ハンプトン・ホーズは終戦直後、横浜の基地に進駐軍として来ていた。
よくライブハウスや「ちぐさ」に現れては日本のミュージシャン達に多大な影響を与えた。

場内が静まったのをみて、馬さんが弾き始めた「GREEN LEAVES OF SUMMER」だ。
レッド・ミッチェルとの名コンビでの名演奏は数多く残されて、今も我々はそれを楽しむことができる。
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<次回に続く、次回は誰が霊界からゲストで来るのだろうか・・・。>

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Comments

basscleffさん

そうですね、終戦直後のようなジャズクラブで馬さんが飛びいりで登場という場面ですね。
きっと上手い兵隊がいるな・・くらいに思っていたのでしょうんね。

そして「ちぐさ」のオヤジさんあたりが、みんなに、あの人はハンプトン・ホウズといってな、偉いおかたじゃとか解説していたのでは・・・と思うのです。

Posted by: 4438miles | August 15, 2007 at 18:07

milesさん、こんにちわ。ハンプトン・ホウズ・・・この人、実際に日本に何年かいて、いろいろなセッションに出てたらしいですね(モカンボもその中のひとつの記録か) その当時の日本ジャズの中にいきなりホウズ氏みたいなピアノを弾くミュージシャンが飛び入りしてきたら・・・全く今回の「Fのブルース」みたいな雰囲気だったでしょうね。
あんな風に「本物のジャズ」が飛び出してきたときの、聴衆の驚きはどんなに凄かったか・・・
>ソロのフレーズが途切れない、加えてありきたりの展開をしない~
milesさんが写真で挙げた初期のホウズのレコードを聴くと、まさにそんな感じですね。フレーズが次から次へと湧いてくる・・・もう止まらない(笑)そんな感じです。レコードを聴いていても、爽快感がありますね。

Posted by: bassclef | August 13, 2007 at 18:26

DUKEさん

はるばる、暑い東京までおいで頂き恐縮です。
いつも「KIND OF BLUE」のカウンターを占領頂きありがとうございます。

決して追い出したりするようなことはありません、看板まで粘って行ってください。

お盆とあってアノ世のミュージシャンも集まってきます。

Posted by: 4438miles | August 13, 2007 at 15:07

KAMIさん

お盆休みだそうで、結構です。
当方はお休み無しというか・・人が休んでいる時には落ち着いて原稿書きなどと思って、静かなオフィスに来ています。

そうモガンボのハンプトンはあまり良くないですね、何か酔っているような状態ではないでしょうか。
守安さんの方がいいですね。

Posted by: 4438miles | August 13, 2007 at 15:04

ゼンさん、ホーズは馬さんと呼ばれているようですが由来は何ですかねぇ。
あれが長いからだよ。
あ~あ、馬並みというあれですか。
そう、あれだよ、あれ、脚が長いのだよ。
それで馬脚を露わしたわけですか。色んなメンバーとセッションやってますね。
馬には乗って見よ人には添うて見よと言ってね、ペッパーとは馬が合ったようですよ。
あっ、それでサーフ・ライドで馬に乗っているわけだ。違った、波ですね。

またもや「KIND OF BLUE」に酔っ払いがいるようですが、北海道から来たのですからつまみ出さないでください。
まぁ何を言っても帰りませんよゼンさん。
馬耳東風って言いますから。(笑)

Posted by: duke | August 12, 2007 at 07:35

4438miles様、こんばんは。
今日は店で「ザ・トリオVol2」をかけました。
そして帰宅して、カインド・オブ・ブルーへ遊びに行くと馬さんの飛び入りとは・・・。
お盆が近いので霊界から遊びに来たのでしょうか。(笑)
彼のセンス、結構好きでよく聴いています。
終戦後、彼が駐留軍の兵士として来日し多くのジャズメンとセッションをしたと聞いています。日本のジャズメンに与えた影響は大きいと思います。
そして麻薬も・・・。(笑)
ところで馬さんの駄作は・・と考えてみました。
そうだ!モカンボセッションの「テンダリー」だ。
これがあの馬さんかと思う演奏です。
これは、ヤクのやりすぎか、ヤクきれのどちらかだと思っております。

Posted by: KAMI | August 10, 2007 at 22:29

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