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August 03, 2007

団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その133回ーー「エリック・ドルフィーという名の男」の巻ー

<前回より続く>

久々の休日、ゼンさんは一人で妄想と幻想のジャズクラブ「KIND OF BLUE」にいた。
人気の無い、クラブでピアノを前にして、壁のジャケットを見やっていた。
もう外は夕方6時を過ぎ、暗くなりかけていた、階段を下りてくる足音がする、誰だろうか?
一人の黒人が大きな楽器ケースを抱えて姿をあらわした。
どこかで見たような・・・?
「ハイ」と声をかけた、男は静かにうなづき、楽器を出し始めた。
見慣れぬ楽器だ、長い管楽器でマウスピースに至る部分はテナーの様だが異様に長い。
マウスピースを取り付けると、やおら吹きだした・・・オレオだ。

短い独特のテーマを吹く、センさんはピアノのふたを開けて、キーを確かめるようにコードをおいた。
キーはDフラットだ。
かなり早いテンポで進んでゆく、ゼンさんはむしろテンポより間を考えて音を置いた。
そう、低めの音よりピアノは高めの硬質な和音の方がよさそうだ。
楽器はバスクラリネットだ。
ソロに入った、重い音を出す楽器にしては流麗だ。
ゼンさんはコード進行を考えることを止めた、むしろ音を聴いて反応をした方が良いと思ったのだ。
その男はソロを延々と続けた、溢れるようなフレーズは留めを知らず、一体どれほどのアイデアを持っているのだろうかと・・決してマンネリな繰り返しフレーズが出てこない。
20分ほどソロをとった男はゼンさんの方を見て頷いた。
ゼンさんがソロをとった、かなりフリーな演奏だ、ブロックコードでパーカッシブなフレーズを続けた。
陰陽、序破急を明白に決める表現で弾き続けた、15分ほど弾いただろうか、男は急に超低音から一気に高音に駆け上がっり、再びソロに入り、テーマに戻った、エンディングをカデンツァ風につくりあげ、最高音で音が徐々に消えていった・・・らその音と共にその男の姿も消えていた。

ゼンさんは不思議な満ち足りた気持ちになった。
その男の名はエリック・ドルフィー・・・・。51eguqujc5l_ss500_
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<今、ドルフィーの本を読んでいました・・・転寝の中で見た夢かもしれません>

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Comments

4438milesさま

「Fのブルース」中に入ってドルフィがいたら、
迷わずドルフィーに一番近い前の席に座ります。
やっと会えたのねってオーダーするのも忘れて彼を見上げましょう(笑)。

音の残存感。仰るとおりですね。
独特のテンポに聞こえるようだけれど、至極まっとうな姿勢の音が作る「間」が独特なのでしょうか。

彼のフルートは私にとってまるで求道者の祈りのようで、彼自身の人生を知りたかったものでした。

本のご紹介嬉しいです。ありがとう!

Posted by: α・com | August 20, 2007 at 10:12

しんじさん

そうなのです、この本に出会う前はドロフィーのしかっめツラしか写真で見たことが無かったのです。

しかし、この本には彼の海軍軍楽隊時代とか少年時代とか・・青年時代の笑顔の写真も掲載されている珍しいものです。

本には斯界の見識者が多くのコメントを寄せていて、ガンサー・シュラーのコメントの格調の高さなどは感動的ですらあります。
シェーン・ベルクやジョン・ケージなど現代音楽家たちとの比較論なども一読の価値ありです。

彼の音楽を聴く切り口が多彩になり、ドロフィーの音の真髄が今になって聴こえてきた感があります。

Posted by: 4438miles | August 09, 2007 at 13:30

みなさま、こんにちは>
 「Fのブルース」に集うしとはやはり一味違うなぁ。ドルフィーに関するコメント見て嬉しくてウレシクテ再度の投稿です。bassclef さんとKAMIさんのオマージュもぜひ読んでみたいものです。dukeさんとこでは'06.09.03に「惑星」の記事がアップされていた。

 ドルフィーの演奏に圧倒された拙者は当時周りからあんな前衛はとスポイルされたものですがパーカーの後継として前衛とは思ってもいなかったので結構悔しい思いをしたものです。そして、今、あちこちで見られる映像での演奏風景を見るにつけ彼のジャズの良さを再認識して喜んでいるのです。あのエルビン・ジョーンズが彼とインタープレイする時の表情は本当にスリリングで、これぞモダンジャズと感じ入ります。
 そしてドルフィーについてはその演奏以外なにも知らないのでこのmilesさんの記事にあった本を探して読んでみようかなとも思っています。どんなしとだったんだろう。残された写真で笑顔のものを見たことがないというのも気がかりです。

Posted by: 管理人@しんじワールド | August 07, 2007 at 13:17

いやーご常連のみなさん、ドロフィーはやはり食いつきが良いですね。
DUKEさん、後編を書いてくださりありがとうございました。

まあ、朝までファイヤーワルツを酔って踊っている客はつまみ出しますから!(笑)

今、彼に関する本を読んでいまして、まあ、彼に関する本なんて珍しいのですが・・。
急に、ドロフィーを聴きたくなったのです。

私がドロフィーを知り、認識のしたのは、高校生の時にバンドを組んだアルトの軒口君がマックリーンやトレーンだとやり始めついに彼はドルフィーに行き着いたのです。
アルトよりクラをもって「ブギャー」とか言う音を出し悦に入ってました。
後年かれはフルートに持ち替え、「ヒューブルブル」などとうめき声と一緒に吹いていました。

そんな中で、「ブルースの真実」を聴き、一人何か外れている音が・・・でも外れている訳ではない不思議な音に出会い、またトレーンの「オレ」でも同じ印象を得たのです。
モンクのファイヴスポットでも強烈さに圧倒され、「ファイヤーワルツ」でも打ちのめされました。
前衛のようで前衛ではない、強烈なアンチテーゼを置かれている印象です。

リーダー作「アウト トウ ランチ」を聴いたらもういけません、虜となりました。

マイルスがトレーンやキャノンボールが去った後、誰とやりたいかと考えた時に、ドロフィーとも思ったそうです・・・しかし、その才能、音楽性を評価しながらも、彼とは共演するのは無理だと考えたらしいのです。(分かる気がしますね)
随分とドルフィーを聴きにマイルスはジャズクラブへ行ったようです。

何故か突然、わたしの中にドルフィーが戻ってきて、聴きなおしてみたら、実は随分とまた違った印象を得て驚いているところです。
かなり変わった演奏という印象は何処へやら、すごくまともな演奏です。
彼独特のスイング感もいいですね。
そして、彼に触発されたサイドがまた開放感を感じながらとても良い演奏をしていますね。

Posted by: 4438miles | August 06, 2007 at 10:34

ドルフィ・・・4438milesさん、偶然ですが、この2~3日、僕もドルフィのことを想ってました。この夏の暑さのせいか・・・「燃えるような」とか「血が沸き立つような」というようなイメージとドルフィのあの煮えたぎったようなアルトの音色を想っていたのです。
ドルフィ・・・理屈抜きですね!(笑)
僕もその昔、KAMIさんと同じく「ファイア・ワルツ」でぶっ飛んだクチです。あの文字通り「火の出るような」演奏・・・ありゃ凄い。ドルフィ、リトル、マル、リチャード・デイヴィス、エド・ブラックエル~全員が一丸となって何かに突き進んでいくような雰囲気がありますね。ドルフィはもちろん、リトルの鳴りまくるペットにも、マルのいつになく力のこもった繰り返しフレーズにも、デイビスの地底マグマのようなソロにも・・・・あの演奏全てに、凄い説得力を感じました。

milesさんのドルフィへのオマージュ~愛情だけでなく何か畏れのような感じか~に刺激されたようです(笑)そのうち拙ブログでもドルフィをやってみたいものです。

Posted by: bassclef | August 05, 2007 at 11:30

久しぶりに「KIND OF BLUE」が開いたようだ。だいたい暇で休店というのはよく聞くが、多忙のため店が開かない話も珍しい。うーむドルフィーか。いきなり聴かせてくれるよ、まったく。KAMI さんとしんじさんは既にカウンターについている。二人の間に開いている椅子はいつもの俺の席だ。ゼンさんがヱビスを注いでくれた。一気に飲み干してから、皆さんでと控えめに、それでいて目立つように1本のボトルを出した。宮崎から取り寄せた大麦焼酎ですよ。酒を飲まないゼンさんは、持ち込みは困るよと言いたげだが、両脇の二人は我先にと手を出した。「百年の孤独」だ。ブランデーのような琥珀色が鮮やかだ。ゼンさんがラベルをジィーと見て言った。ドルフィーのラスト・デイトの言葉ですねと。

いつもは飲まないゼンさんも「オレも」とグラスを出す。こうなると止まらないのが常なのだが、俺は早朝戻らなければならない。酔いが回った両脇の二人は、ドルフィーを聴きながら朝まで宴会だ、と楽しげなのだが・・・遅れてきた bassclef さんが、「惑星」まで帰るわけじゃないから、明日「ランチに出かけて」から帰っても北海道に夕方には着きますよと笑っている。朝までファイアワルツで踊るとしようか・・・

bassclef さん、あとお願いしますよ。(笑)

Posted by: duke | August 05, 2007 at 08:27

こんばんは>
ドルフィーの記事、わくわくしてしまいます。極めつけのひねくれ者のmilesさんのドルフィー物語、4話くらいまで読みたいものです。音でしか知らないというのもmilesさんにはめずらしいのでどんなストーリーを創ってくれるのか楽しみにしています。あまり他言できませんが彼の演奏を聴きこむとあのコルトレーンやロリンズが平坦に思えるほど評価して止まないのです。

Posted by: 管理人@しんじワールド | August 04, 2007 at 21:24

4438miles様、
よく考えてみたら、私のバスクラ初体験はトレーンとドルフィーが共演した、スピリチュアルでした。
40年くらい前の事です。

Posted by: KAMI | August 03, 2007 at 22:13

4438miles様、こんばんは。
今回はドルフィーですね。
私がはじめて聴いたのは、ファイヴ・スポットのファイアー・ワルツでした。
レコードに針を落とすと直ぐに演奏が始まらず少ししてからマルのイントロから始まるところがイカシテルと思いました。そしてドルフィーのアルトに驚きました。
そして2曲目のビー・バンプではバスクラ初体験をしました。
この2曲には衝撃を受け、何回聴いたかわかりません。

30年くらい前の話ですが・・・。

Posted by: KAMI | August 03, 2007 at 21:29

とうとう、ドルフィーの生演奏を聴くことはできませんでした。
この人の音は何か何時までも残る存在感がある音ですね。
たまに聴かないと禁断症状がでます。

Posted by: 4438miles | August 03, 2007 at 17:55

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