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December 14, 2007

団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その142回「スリーピー 狂紫朗 見参!」の巻ー

<前回より続く>

・・・いよいよ、空想と妄想のジャズクラブで何が起こるか、何が始まるか・・・ジャズ界の仕置き人登場か!・・・

金曜の「KIND OF BLUE」は常連で混みあっていた・・といっても所詮30人で満員だ。
コメント常連のDUKEさんやKAMIさん、BASSCLEFFさん、しんじさんもテーブルを囲んで休憩時間にジャズ談義だ。
最近ではMIXI口からの常連客もよく店にきてくれているようだ。
ハウストリオの河田吾郎、ドラムと大野、ベースの山田といつもの顔ぶれが次の曲を決めていた。
「枯葉って、スタンダードではかなり録音されているよね」って、ベースの山田君が切り出した。
「そう、ティモンズなんていいよね」と河田、大野は「やはりマイルスの印象が強いな」と、「次にやってみる」「イントロは何かつくろうよ」とゼンさんが加わった。
「じゃあ、俺がリズム無しで、スローでSMILEを8小節弾くから、そしたら枯葉のテーマに入るのインテンポで・・・」と河田が言い出した。
「じゃあ、時間だから」と大野がドラムの椅子に座った。
ザワついていた店内が少しづつ静かになって、ローソクの煌きだけが揺れている。
吾郎が、SMILEをシングルトーンでユックリとメロを辿った・・・8小節目で音を止めるとベースがミディアムファーストのテンポで高音がら半音階下降で下がりながらFまでもってくると、そこで全員が「枯葉」のテーマに入った。テーマから凄いスイング感を感じさせる冴えた入り方に思わず「イエェー」と声が掛かった。
吾郎のソロは延々と6コーラス目に入った、益々ベースが絡む、ドラムが煽る、吾郎の三連符が大きな弧を描く、お店中がスイングを始めた瞬間だ、これがこの店「KIND OF BLUE」の本領発揮だ。
ベースにソロが廻る、山田君は1コーラスをピッチカットで2コーラス目からアルコで弾き出した。
アップテンポでありながら音色に哀愁が篭っている・・・最近にないグルーブ感が漂っている、続いてドラムとの4バースになり、最高潮に盛り上がってゆく。

そんな時、紫がかった大島の着流しに何やら細長い筒を背負った、長髪ポニーテールにヒゲ面の男が階段を下りてきたことに気付いたのはゼンさんだけだった。
演奏が白熱している中で、ゼンさんは「久しぶり」と小声で言った、男は静かにうなづいて、背負った長い筒をおろし、カウンターの横にこしかけた。締めた角帯には何やら脇差のような物を挿していた。

延々20分におよぶ「枯葉」が終わり、お客がヤンヤの喝采をおくっている。
吾郎がチラッとカウンターの横の男をみた、「やる?」、声はでていないが、しぐさでわかる。
男は、長い筒から、金色に輝くソプラノ・サックスを取り出した。
皆が、変なヤツが・・と思っている、何しろ着流しの男・・・今日は「着物でジャズ」の日ではないのだ。
マウスピースをつけながらピアノの横にたった、「何?」と吾郎が聞いた。
男が静かに言った「Dナチュラル・ブルース」、途端に出だしのテーマ、4小節を一気に吹いた、ドラムの二拍のロールを合図に全員が入った。
引き締まった空気と、緊張感のあるブルースが始まった。
音数はそれほど多くはないが、ノリのタイミングに緊張感がある、いつになく、ピアノのフィルインが鋭いし、ドラムのアクセントもきつめに入ってくる。
その男は静かに目を閉じたまま、ブルージーなフレーズを吹くというより置いてゆく。
フレーズの合間に微妙な間を置く、その間が聴く者をじらせるが、それがまた心地良い。
「惹きつけられる音だね」と常連のマナブ君が言った。
「でも一体何物なの、あの人?」とデザイナーの京子ちゃんが言った。

少ない音数から徐々にエキサイティングな音量とフレーズへと上り詰めてゆく、ドラムのシンバルとバスドラのコンビネーションが重く大きなスイングを生みだしている。吾郎のピアノも低音部での展開が多く、ピアノの左手にベースのアクセントが絡む、全体で複合リズムを作り出している、その上にソプラノの高音がコントラスト鮮やかに訴えている。ソプラノサックスの音が一音一音、空気を斬っていることには変わりない。

「スリーピー・狂紫朗っていうんだって」とスタッフのヨーコがマナブ君に囁いた。

<次回に続く>

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Comments

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Posted by: bizcpcss | September 27, 2017 at 08:23

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Posted by: amukataf | September 14, 2017 at 14:21

DUKEさん
日高吾郎さん・・・DJとして名前を聞いたことが、またラジオを聴いた覚えがあります。

長山藍子さんはファンでして、誰でも同伴できるDUKEさんに御願いした次第、次は若い十朱幸代さんを御願いします。
そう「バス通り裏」のです。

Posted by: 4438miles(SHIN) | December 18, 2007 at 16:43

4438miles さん、こんばんは。

日高さんをご存知でしたか。こちらでは主婦のアイドル、亭主のライバルという人気です。私は紺屋高尾のひとり語りに魅せられました。

長山藍子さんとは、「語り渡る世間は鬼ばかり」のあの方でしょうか。「乳房よ永遠に」もありましたね。お好きなのでしょうか。私もかなり守備範囲は広いほうですが、お連れできるほど詳しくないです。

先週土曜日に宴会から帰った後、コメントをお入れしたのですが、時間が at 00:00 でした。なぜか嬉しい小市民です。(笑)

Posted by: duke | December 17, 2007 at 23:27

DUKEさん

どうも、バトンリレー式空想小説のような、また、何とも切り込みをかけられたような・・・。

音月殺法・・・は先取りされた感がありますし、「枯葉」の御題にもかかり言葉で、お見事!
一本アリ!
先が思いやられます。

ところで「日高ゴロー」さんはかなり以前にお名前を聞いたことがありますが、お元気なのですか。
DUKEさんの同伴者は意外な展開が多くて・・・でもお見通しで、男性より女性歓迎です。次回は長山藍子さんをお連れください。
宜しく御願いします。(笑)

Posted by: 4438miles(SHIN) | December 17, 2007 at 10:01

KAMIさん

勝手にBEST3・・・ありがとうございます。

因みに、わたしのトップはケーリー、2番がエバンスで3番がティモンズ、次点でサムシングエルスです。

どうもサムシングエルスはあの導入部がチグハグな感じがして、でもメロに入った途端、グットきますけどね。

Posted by: 4438miles(SHIN) | December 17, 2007 at 09:54

今夜の duke の連れは珍しく60を過ぎた男であった。先週の連れはジュリー・ロンドンに似た小股の切れ上がったいい女、春にはカトリーヌ・ドヌーブを思わせる美女を伴ってきたものだから、ゼンさんは落ち着かない。どうやらゼンさんの好みのタイプのようだ。

「誰?」とゼンさんも男だと素っ気ない。
「北海道のラジオ番組で有名な日高ゴローさんでして、衣着せぬ毒舌が何かと全国ネットで話題になる方ですよ」
「ゼンさん、はじめまして、スリーピー・狂紫朗が出ると聞きましたので duke に案内してもらいました」
「それは遠いところようこそ、ジャズがお好きでしょうか」 少しばかりゼンさんも営業の口調だ。
「いえねぇ、スリーピー・狂紫朗のソプラノは風に舞う枯葉を円い輪にするように引き込むでしょう、円月殺法というか音月殺法でしょうね」
「円月殺法、ご存知でしたか」 ゼンさんはシバレンさんを思い出したのだろう、途端に機嫌がいい。
「ええ、市川雷蔵は私が俳優時代の師匠でした」

今宵も賑わう「KIND OF BLUE」です。

Posted by: duke | December 16, 2007 at 00:00

4438miles様、こんばんは。
謎のソプラノサックス奏者登場ですね。次回が楽しみです。

「枯葉」これは名演が多いですね。
エヴァンスのポートレイト・・・、ウイントン・ケリー、エロル・ガーナー。ケニー・バレル、フレディ・ハバード・・・。
どれも素晴らしい・・・。

勝手にベスト3
マイルス(キャノンボール・アダレイ)「サムシン・エルス」
ボビー・ティモンズ「イン・パースン」
ウイントン・ケリー「枯葉」

数々の名演がありますが、ぱっと頭に浮かぶのは誰でも知っているこの3枚なのです。(笑)

Posted by: KAMI | December 14, 2007 at 18:30

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