« 団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その142回「スリーピー 狂紫朗 見参!」の巻ー | Main | 団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その144回ーー「オスカー・ピーターソンへの賛歌」の巻ー »

December 21, 2007

団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その143回ーー「スリーピー・狂紫朗という男」の巻ー

<前号より続く>
(空想と幻想と思いつき、架空のジャズクラブ「KIND OF BLUE」へようこそ。幸か不幸か、貴方は下らない口から出まかせ、推敲なし、構成無しのお話に付き合わせれることになる。中傷誹謗、罵詈雑言多いに結構、灰皿投げるも、布団を投げるも多いに結構・・・しかし、コメント欄にお世辞の一言くらいは書き残すが礼儀・・・・ナンチャッテ、またまた続くデタラメJAZZ小説なのであります。)


1015_033

金曜の演奏時間はとうに過ぎ、もう夜中の1時半を廻っていた。
しかし「KIND OF BLUE」の店内はまだ熱気に溢れかえっていた。
飛び入りでソプラノでブルースを吹き始めた男は続いて帯に挟んでいた脇差の様なものを取り出すと、濃い紫の筒状の袋から竹の横笛を取り出した。
やおら、曲目も言わず、吹き出したメロディーは「オレオ」だ。
でもこの日本の民族楽器でもある竹製の横笛はフルートと違い、かすれた音を伴い独特の音質を産みだしていたが、音程は安定しフルート以上に西洋音階をとらえていた。
さすがに吾郎達だ、キーを捜しだし、伴奏に入った、キーはD♭だ。

読者にはこの男の素性を紹介しよう。
すでにかなり以前、マスターのゼンさんの学生時代の仲間が店に来てはジャムっていたことをご存知だろう。
そのうちの一人、天才アルトの恩田君がこの人物だ。
彼は大学を卒業し、警察に入った、公安の特殊な部門ゆえ、仕事の事は言えないといいながら、天才的なジャズセンスをもった恩田君はアルトを抱えてよく店に遊びにきていた。そんなシーンも覚えている方もいらっしゃるだろう。
彼は今年定年になった。警察を辞め、これからどうしようかとゼンさんのところに話にきていた。
どうせ独り身の恩田は、いよいよジャズをやりたいと言い出した。
「今、どこのジャズクラブ行っても、軟弱なジャズというか、聴いていられない音が多い、俺は今更プロになって稼ごうとは思わない・・が・・だっ、少々渇を入れてやりたい」という。
退職金をゼンさんのファンドに預けて、全国のジャズクラブを廻りたいというのだ。

そのいでたちがこの格好だ。
「スリーピー・狂紫朗」なんだか、松本英彦の愛称と眠狂四郎を掛け合わせたような名前だ。
しかし、今までの職業柄、目は鋭く、公安刑事の勘も優れている、そんな「気」を消すように突拍子もない格好を思いついたのだ。
今夜はそのデビュー最初の夜であった。

横笛、バンブーフルートの音色は益々冴え渡った。
早いフレーズと「間」、そして一瞬を切り取る鋭い一音、それに素早く反応するピアノとドラム、ベースはいつも以上に低音部を強調し、コントラストをつける。
音にも陰影があることが見えてくる。
ピアノとベースとドラムが一体となった大きな弧を描くスイングをたたき出す、その上で横笛の音が渦を巻き始める。
3コーラス目からはフリーの世界になっている。
聴衆は不思議な心地よい感覚に取りこまれ、闇の中から一閃の光が迫ってくる錯覚に入る、否、錯覚なのだろうか・・・・アクアマリーンのような透明感のある光が闇の中から迫り来る、眩しい限りの輝度で、でも目はシッカリとその光を見ている。光が見える・・・・。

ピアノ、ベース、ドラムが横笛とのインプロビゼーションで会話を続けるうちに、心を素直に音に集中させると奏者は自然に音に反応させられてしまう。手が音を自然に選んでしまうのだ。
もし、素直に音が聴けないと、その奏者の手は凍りついたように動かなくなり、何も出来ないで、ただただ無力感と敗北感にさいなまれるだろう。
しかし、ここで演奏している三人は素直にその音に入っていった。そして自然反応の如く、互いの音からインスピレーションを受け、インプロバイズされた感性から素直な音を出していた。

「音」というものがこの自然界というか宇宙にあって、空気の振動である物理現象であり、その振動は瞬間に伝播し人の心、すなわち、奏者や聴衆をも振動させエネルギーに昇華させる。
それは例えれば、ジョン・コルトレーンとエリック・ドルフィーの相互インプロビゼーションにも聴けるといえば良いのだろうか・・。

横笛が静かに低音部へと降りてゆき、オレオのテーマに戻ったところで、聴衆は我に帰った。
この混沌なのか秩序なのか・・・不思議な時空の中で異様な「光」を見た。
テーマが終っても暫くは、店内は静まったままだった、皆の顔は満ち足りた顔をしていた。
深呼吸ともつかぬ、ため息のあと、大きな拍手が起きた。
それは、賞賛の拍手ではなく、感謝の拍手に聴こえた。

それこそ、後年、「月光奏法」と名づけられた、スリーピー・狂紫朗の独特の奏法であった。
彼は、静かに横笛を鞘袋にしまい、帯に挿し、一礼をした。
共演をつとめた三人も満足感に浸っていた。

ソプラノ・サックスを筒にしまい、まるで佐々木小次郎の如くそれを斜めに背に負うて、竹の横笛を脇差の如く、さあ、スリーピー・狂紫朗はこれから何処へゆくのだろうか・・・・。


<次回に続く>

|

« 団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その142回「スリーピー 狂紫朗 見参!」の巻ー | Main | 団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その144回ーー「オスカー・ピーターソンへの賛歌」の巻ー »

Comments

????
http://bamwar39.com bhaity.com bizcpc.com b

Posted by: bamwarca | September 27, 2017 at 04:04

????
http:

Posted by: usesqim | September 26, 2017 at 07:47

????
http

Posted by: usesqim | September 26, 2017 at 07:47

????
http://socialca

Posted by: socialcadns | September 25, 2017 at 18:56

?

Posted by: bucknallue | September 14, 2017 at 17:22

KAMIさん

なにしろ進出気没で・・・ふらっと現れる・・・・がこの男の出かたです。
さあ、何処に現れるやら・・。

しんじさん
この男のモデルが実際おりまして、そのほうが書きやすいもので・・・事実コイツは警察に就職し挙句に一番似合わない公安部門で、お前何をしていると聞いても、言えないの一点張りです。(笑)
どうせ大したことしては無いと思いますが、荒唐無稽なお話の中では何でもありで・・・。
このキャリアがどうでるか・・。

DUKEさん
早速の同伴出勤ありがとうございます。
つい先だってTVで極道の妻を観て、少々年の行った幸代姉御を観ました。

Posted by: 4438miles(SHIN) | December 25, 2007 at 16:32

その日、ゼンさんは duke が特別なゲストを連れてくるというので KIND OF BLUE の表にいた。duke に寄り添うように現れた女性は、つばの広い帽子を被り目許は見えぬが口元は愛らしい。帽子を脱ぎ挨拶をするその人を見てゼンさんは興奮のあまり声も出ない。
「・・・ト・・アケ・ましょうか」と、しどろもどろにドアを開ける。
「ジャズはよく聴かれるのでしょか」 少し落ち着いてきたようだ。
「えぇ、4年前かしら、紫綬褒章をいただいたときに授賞式の会場で、山下ヨースケさんにお会いしましたの、それからでしょうか」
ジュエリーベストドレッサー賞も受賞しているだけあって、美しくカットされたダイヤもよく似合い、胸元で輝いている。
この機会でなければ話をできないと思ったのだろう。宝石同様まばゆいばかりのその人にゼンさんは切り出す。
「あのぅ、どちらかでお会いしておりますよね」
「えぇ、バス通り裏で」

今宵も KIND OF BLUE は賑わっている。

Posted by: duke | December 23, 2007 at 07:59

おはようございます>
居合わせた拙者がまず驚いたのが公安出身のジャズマンてぇこと。こりゃぁギャングスターのショパン弾きみたいに思いもよらぬ取り合わせじゃござんせんか。スパイにジャズならピンとくるのですが、一体全体どうなってるのかと問い詰めたく。。。
帰るに帰れなくなってしまった。

Posted by: 管理人@しんじワールド | December 22, 2007 at 06:06

4438miles様、こんばんは。
久しぶりにジャズ小説ですね。わくわくします。Fのブルースはこうでなくては。

スリーピー・狂紫朗には是非過去のジャズジャイアンツとの共演を期待します。
バード・ランドやヴィレッジ・ヴァンガードに乗り込む狂紫朗。そしてそこにはトレーンやドルフィーがいる。
想像しただけでわくよわくします。
時代を超えたセッション。私の願望です。

Posted by: KAMI | December 21, 2007 at 22:10

さあ、この話、一体どうなることやら・・。

でも、こいう男、何かしそうで、しかし、書いている私に分からない。

時々は「KIND OF BLUE」に戻ってきては、日本のどこかであった話をしてくれることになるだろう・・・。

読者の皆さんは、スリーピー・狂紫朗に何を期待しますか?

Posted by: 4438miles(SHIN) | December 21, 2007 at 14:48

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/54124/17435324

Listed below are links to weblogs that reference 団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その143回ーー「スリーピー・狂紫朗という男」の巻ー:

« 団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その142回「スリーピー 狂紫朗 見参!」の巻ー | Main | 団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その144回ーー「オスカー・ピーターソンへの賛歌」の巻ー »