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February 08, 2008

団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その150回ー「スリーピー・狂紫朗・ジャズ無頼帖 オーディオを斬る」の巻ー

おかげさまで、150回を迎えました、そしてご来客数も30000ヒットを越えました。
これも、お閑で酔狂で物好きな皆様のお陰です。
遠くは北海道や沖縄、いや、欧米や豪州から・・・。
相変わらずの校正、推敲なしの書きなぐり、誇大妄想、ウソとホントのミックスジュース。
お知恵、アイディアはいつでも頂きます、アイデイア料はお払いしません。念のため。
批難、中傷、誹謗、絶賛、大歓迎!
では、40000ヒットを目指してまっしぐら!

<前回より続く>
「スリーピー・狂紫朗、ジャズ無頼帖 オーディオ斬り」の巻

狂紫朗は、寒波の押し寄せる黄昏時、中央線沿線のとある駅前を歩いていた。
路地を覗くと「JAZZ」という大文字の看板が目に飛び込んできた。
ふらっと、扉を開けた。
途轍もない音量が耳をつんざく、店内に客は僅かに3人。
狂紫朗は静かに空いていた隅の席についた。

店の主と思わしき人物が愛想も無く、傍に立った、「マティーニ、ドライ・マティーニ」と耳元で繰り返した。主は首をかしげながら、遠ざかった。
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店内にはセロニアス・モンク「ミステリーオソ」が流れている、ジョニー・グリフィンの金属音テナーの後ろでコードを叩くモンクの姿が浮かぶ。
しかし、いかにせん、音量が大きすぎる、本物の音より大きい。
オーディオには疎い狂紫朗にもスピーカーがJBLパラゴンであることくらいはわかった。

その時、マティーニが机の上に無言で置かれた。
一口マティーニを舐めた、甘い・・・味にシマリがない、この音と同じだ。
たしか、ドライと言葉を加えたはずなのにと思った。
店内はジャズ喫茶特有のレイアウトで、典型的な配置、椅子はみなスピーカーに対座している。

アルバムが変わった、「スリー ブラインド マイス」、ジミー・メリットのベースのイントロが始まり、シダー・ウオルトンが加わり、ブレイキーがレガートを付け始めた。
三管編成のテーマが始まった・・・しかし何だこの音は、実際より音量が大きいだけではない、音質が違う、実際にコンサートで同じ編成を生で聴いたことがある狂紫朗は「ちがう!」と声を出した。

主と思わしき人が近づいてきた、「お客さん、お静かに」
「こんな音が静かに聴けるか」
他の三人の客が振り向いた。
ウエイン・ショーターがソロを取っている・・・しかし、ショーターの音色ではない。
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「うちのオーディオは都内でも有名な装置だ、この音に文句つける奴は初めてだ!」
主が息巻いている。
「どうだ、このクリアーさ、低音の伸び、最高音だって割れずにシッカリと伸びているだろう、シッカリ聴け」
「しかし、ショーターの音色はこんなに角ばっちゃいない、もっと角の丸い音色だ、それにこのマウスピースはまるでメタルマウスピースの音だな、この時はショーターはハードラバーだと思うが・・・・」
「なにお、聞いたようなことをいいやがって、俺の店にケチつけにきたのか、代金は要らないから、さっさと帰ってくれ」
「いや、帰りたいのはこっちの方だが、この音が本物だと思って聴いているお客さんが気の毒だな」
「ショーターの本物の音って?」とお客が声を張り上げた。
「もっと太い、低音がバリバリとくる音だ」
「なにお、この当時の本物の音が何だか知っているのか、エッー、分かってない奴はこれだから困る」と主が言う。
「この同じ編成で来日したとき、私は最前列で聴いている、1963年の時だ、曲も同じものを聴いている」
ソロがハーバートに変わった。ブレイキーが煽る、ハーバートの高音がヒットした。
「ハーバートの音はもっと輝きをもっているな」
「・・・・・」主は無言になった。
「なら、どんな音が本物の音だというんだ」

それから暫く、音を少し落とせとか、低音にシャを被せてとか、スピーカーの中に人がいるみたいだ、もっと距離感をだせとか・・・30分ほど続いた。
「少しはましになったな」
「しかし、これでは音がボケて聴こえないかな・・」と主。

「ピアノトリオでも聴いてみろ、一目瞭然だ!」
アルバムがピーターソンに変わった。
「ナイト トレーン」だ。
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お客の一人が思わず「ああ、ピアノがそこにあるみたいだ、ベースもドラムもしっかりと識別して聴こえる」
主が不思議な顔をして聴いている。
「どうだ、ピアノの中に頭を入れて聴く客はいないだろう、これがピアノから数メーター離れて聴く音だ」
「では・・・本物の音より良い音など無い」

主が気がつくと、不思議な風体の男の姿はなく、テーブルの上に1万円札が一枚とメモが置いてあった。
メモには「ハンク・モブレイを聴け」と・・・。

<続く>

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Comments

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Posted by: sweatingrp | September 26, 2017 at 01:11

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Posted by: speculatn | September 14, 2017 at 08:59

DUKEさん

これ! 頂きです!

次回に期待してください。

尚、著作権、アイディア料は・・・出世払いということで、しかし今後、出世の見込みはありませんので悪しからず・・。

Posted by: 4438miles(SHIN) | February 12, 2008 at 13:02

しんじさん

そう演奏者の意向とは関係なく、音質を変える・・・・これはルール違反だと思うのですが。
如何に自然の音に近づけるか、これに邁進して欲しいものです。

Posted by: 4438miles(SHIN) | February 12, 2008 at 13:00

KAMIさん

先日のDUKEさんのお宅でも、話題のモブレイ。
実際の生音を聴いたことが無いのです。
だからこそ、生音に神秘を感じてこだわるのです。
傍で聴きたかった・・。

Posted by: 4438miles(SHIN) | February 12, 2008 at 12:58

主と狂紫朗がにらみ合いをしている時、フラリとひとりの客が着物姿で入ってきた。狂紫朗と勝負にきたのだろうか、いや脇差がない。「着物でジャズ」の場所と間違えたのかもしれない。薄暗い明かりでようやく顔がわかる。

作家の五味康祐氏だ。五味の柳生か、柳生の五味か、と評されたほど、柳生十兵衛を書かせたら右に出るものはいない。

「隣の雀荘にいたんだが、音がうるさくて勝負にならん。生に限りなく近い音を追求するのがオーディオ道というもんだが、でかけりゃいいってもんじゃあないよ。でかくても鑑賞に耐えうるバランスのとれた音を出していたのは中野のジャズオーディオくらいなもんだ」

『五味オーディオ教室』を書いた氏らしい発言だ。

「この地響きの太鼓は何だ?ん、ナイアガラ瀑布か・・・どうりであがり牌がナイ、アガラないわけだ、瀑布いや罰符だよ、バップを聴け」と言い残して雀荘に戻った。

Posted by: duke | February 10, 2008 at 08:11

こんばんは、milesさん。
ストーリーであの超のつくお方の記事にリンクするって、なんとも粋だなぁ~。

オーディオに関しては全面的に狂紫朗に軍配をあげたい。電子技術の進歩は一方でプレイヤーの感性とは異なる思い入れを容易に原音に加えられるようになってしまいました。

Posted by: 管理人@しんじワールド | February 08, 2008 at 22:55

4438miles様
150回達成、おめでとうございます。
当初からのファンとしてとても嬉しく思います。
そして今年になってジャズ小説も復活した。これも私には嬉しいことです。
次の目標は、1000回でしょうか?(笑)

私はオーディオ音痴ですが、ライブ好きの人は生の音に近いセッティングをする傾向がありますね。
それに対しマニアック過ぎる人は、生とは違う音をつくってしまう・・・。
やはり目を閉じて聴くとジャズクラブにいるのでは・・・と思わせる音が良いですね。
目を閉じて聴くとモブレイが吹いている・・ここはブラックホークだと錯覚する・・こんな音を聴きたいですね。

Posted by: KAMI | February 08, 2008 at 22:31

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