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March 18, 2008

団塊のJAZZエッセイ「KIND OF BLUE」その152回ーー「ブルースの真実」の巻ー

<幻想と妄想のジャズクラブ「Kind of Blue」にようこそ・・・ここでは、ジャズに関しては何でもあり・・・大いなるウソをお楽しみください! 中傷誹謗大歓迎、罵詈雑言大歓迎、もらい物大歓迎・・・お世辞も大歓迎です。>

春めいた夜風が心地よい。
夜9時過ぎに狂紫郎が、ゼンさんのクラブ「Kind of Blue」にやってきた。
ハウストリオの河田吾郎のピアノがOn a cleardayを弾き始め、2コーラス目のソロを取っていた。ミディアムアップのテンポにのって軽快にスイングしている。
狂紫郎は相変わらず紫の着流しで帯に篠笛を挟み、背中にはソプラノを筒に入れて背負っている。
ポニーテールで手入れの行き届いた髪は半分はもう白いものが混じっていた。
ゼンさんがココとピアノ後ろにある丸いテーブルを指した。
店内はほぼ満員状態でキャンドルの煌きに皆の顔が上気しているのがわかる。
もう一人後ろについて入ってきた外人がいる、やはり楽器のケースを持っている。
ベースの山田とドラムの大野が狂紫郎に会釈をした。

ゼンさんは何も言わずにドライマティーニのグラスを一つ狂紫郎の前においた。
そして、もう一人の男と一言二言、ゼンさんはカナディアンクラブ・・・CCをロックのグラスに注いで置いた。

On a cleardayのエンディングで半音上げて転調しかなり泥臭いフレーズでブルージーに終えた。
「オッ、イエッ!」と掛け声が掛り拍手がおきた。

河田吾郎が振り向いた、そして促した、狂紫郎はソプラノではなく、篠笛を出した、もう一人の男はテナー・サッスクを取り出した。フランスセルマーにラーセンのマウスピースをつけている。
その男が曲を指示しテンポを出した。
「ストール・モーメンツ」だ。
篠笛とテナーな微妙な4度のハーモニーを作り出している。
このブルースにして、そのブルース色を敢えて殺し、何処までブルースコードの中でペンタトニックの展開をさけ、泥臭いフラット5を避け、でも如何にブルースにするか・・・これが大いなるブルースの実験であるのだ。
狂紫郎の篠笛のソロは、音数を減らし、耽美なまでのフレーズを、正に置いてゆくという表現がピタリだ。
しかし、ピアノとベースはあくまでもブルースの進行をドッシリと守り、ミディアムスローのスイング感を出している。
大野のドラムは左手のオカズをスネアのリムに近くで叩くことにより、甲高く抜ける音でフィルインしている。
その日、店内にいた全員がその音色とフレーズにのめり込んでいた。
3コーラスの篠笛のソロを終えて、テナーの男にソロを渡した。
その男のテナーの音色はよく抜けるクリアーな金属音で音に伸びと哀愁があった。
フレーズにはあまりブルーノートを使ことなく、ブルースコード載せて、正に哀愁のフレーズを積み重ねていった。
山田のベースがこいう時は大事だ、太い音で低音部をシッカリと伸ばし、タイム感でスイングさせなければならないし、またそれが軸になって、ドラムもピアノもミディアムスローのスイング感をだすのだ。
テナーのソロは3コーラス目に入っている。
その時、聴き入る皆の顔にまさかという表情が浮かんできた・・・。
そのテナーのフレーズは高音から低音まで、伸び伸びとユッタリとしたフレーズで吹き語られてゆく。

その後でピアノは1コーラスだけソロを取ったというより、最後テーマに入るお膳立てをした。
ストールモーメンツが、あの伸びのあるテナーの音色とフルートよりより芯の在る高音を篠笛が出してテンションを高めてメロディーが演奏された。
テーマの最後のフレーズは思いっきりブルーノートをかませて終った。
拍手は静かに始まった、そして長く続いた。

ゼンさんがマイクを取った、「Lady & Gentlemen,Oliver Nelson!」
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その時、ドラムの大野が声をかけた、「ホーダウン!」
ネルソンのテナーと狂紫郎のソプラノが一斉にアノテーマを吹きだした。
アルバム「ブルースの真実」は名盤である、オリバー・ネルソンはこの一枚で名を上げた。
このアルバムには正にブルースとは何かというイディオムが沢山詰まっている、そしてジャズの原点と基本はやはりブルースだということを実験し証明している。
ドロフィーの存在もフレディーハーバートの存在も前衛的でありながらブルースであり、ピアノがビル・エヴァンズでありながら、そのハモにブルースの芯をたたき出している。
チェンバースのベースは軸になり、ロイ・ヘインズのドラムは歌っておりファンキーでさえある。

周囲が皆、モード手法に流れ出した時期、もう一度ブルースの限界に挑戦した大きな意義をもつアルバムが「ブルースの真実」でだとおもう。

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Comments

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Posted by: DennisDer | September 04, 2017 at 19:11

こんにちは>miles4438さん、皆さん。
うぅ~~ん、したり、始めにブルースありきといったところでしょうかねぇ。モダンジャズファン共通の想いのような気がします。其々のブルースといったところでしょうか。今だから言えるのですが間違いなく高尚なもので高根の花に例えても良い位で、感じ取れるということはおそらく幸運なことでもあります(^o^)。
 それにしてもドルフィー好きの方々の文章には親近感を覚えるなぁ、ホント。

Posted by: 管理人@しんじワールド | March 23, 2008 at 08:55

DUKEさん

ドロフィーはとってもブルージーです、いつも彼の演奏の根底にはブルースがあると思うのです。
やはり、ジャズの基本はブルースだと思うのです。
これは、ブルースコードにのっとった演奏と言う意味ではなく、精神的なことです。
たとえスタンダードをやるときでも、気持ちはブルージーにということですね。

Posted by: 4438miles(SHIN) | March 21, 2008 at 13:07

basscleffさん

今津さん・・・そういえば最近耳にしていませんね。
このブルースの真実ではエバンスが前面には出てこないのですが、実はコードの設定で肝心な役目をしているように思うのです。
あえて、ブルージーな泥臭さからの脱出のようなコードワークだと思うのです。

Posted by: 4438miles(SHIN) | March 21, 2008 at 13:04

4438milesさん、KAMIさん、こんばんわ。
ブルース好きのbassclefです。「ブルースの真実」~エヴァンス興味から聴きましたが、あれも好きなレコードです。
一般的には「ブルース」というと12小節のmajor(長調)ものを指す場合が多いかと思いますが、このオリバー・ネルソンのレコードではいろんなフォームのブルース(32小節ものとか、あるいはマイナーブルースとか・・・)を、こねくり回さない自然なノリのできるアレンジでもって、紹介してますね。

>こういうテナーを聴きたい!!!!!~
このKAMIさんの独り言・・・よく判ります(笑)この頃のサックス吹きは・・・なにかコード分解したような、あるいは分析されたスケールをなぞっているだけのような・・・そんな感じ、ありますね。
独自の音色、そのトーンから滲み出る情感、情念・・・そんなものが希薄なんですかね・・・すみません、あくまで僕の好みでの話しです(笑)そんな好みから言うと・・・15年ほど前だったかに聴いた今津(マサト)さんのテナーはよかった!音に色気があっていろんなニュアンスが飛び出てくる。「モード」的な単調さ、個性のなさ、とは無縁のテナー吹きだったと思います。このごろ、あまり名前を見かけないような気がしますが、どうしてるのかな?

Posted by: bassclef | March 19, 2008 at 19:55

ゼンさん、と切り出したその男は続ける。

モードを吹いてもドルフィーにはブルースが詰っていたねぇ。それで、まず奴とスクリーミン・ザ・ブルースを作ったわけだ。ドーモ、モード一辺倒でブルースを忘れちゃいけないよってもんだ。モードもひとつの方法だとは思うが、そのモードとてブルースの一部にしかすぎないのだよ。それを証明したのが、ブルースの真実さ。そもそもジャズというのは・・・

その男の話は延々と続く。さすがのゼンさんも眠くなってきた。

ネルとソンだよ、と言いながらその男も寝てしまった。

Posted by: duke | March 19, 2008 at 19:46

4438miles様、こんばんは。

>フレーズにはあまりブルーノートを使ことなく、ブルースコード載せて、正に哀愁のフレーズを積み重ねていった。

こういうテナーを聴きたい!!!!!

Posted by: KAMI | March 18, 2008 at 22:21

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